⓪本記事の3行要約
- シミュレーションから新庄監督の6番最強打者論を検証したい。
- 4番と6番を入れ替えたチームで対戦をシミュレーションした。
- 新庄監督の6番最強打者理論は有効であった。
➀新庄監督の6番打者最強打者論とは
-(1)6番最強打者理論とは
6番打者最強打者論とは、日本ハムの新庄剛志監督が唱える最適打順構成理論の一つです。これは監督就任決定後の12月に放送されたバラエティー番組内における発言が元となっており、とてもユニークな打順構成であると大きな話題となりました。具体的には、一般的な4番打者(強打者)の入るべき打順は6番であり、逆に足の速い選手が4番に入るべきであると主張しています。
-(2)本記事の方向性
本記事では、新庄監督の主張する打順のチームと元の打順によるチームが対戦する試合をモンテカルロシミュレーションによって再現することによって、6番打者最強打者論に従う打順構成が本当に有効であるのかを分析します。
➁モンテカルロシミュレーション方法
-(1)シミュレーションによる得点算出法
本記事では、乱数によって打席結果を決定させるモンテカルロシミュレーションを用いて分析を行います。この算出法の大枠については過去の記事にて解説したためここでは触れませんが、次の仮定のもとで野球を疑似的にシミュレーションしている点に留意する必要があります。
-(2)シミュレーションの改善点
大まかには野球を野球盤のように捉えたモデルであり、現実の競技とは大きくかけ離れた内容となっている点に注意が必要です。なお、ここでは2塁走者が単打で生還する確率を60%と仮定することにより、『野球のOR』や野球盤の再現において生じた2塁走者の扱いによるバイアスを解消しようと試みています。
-(3)対戦のシミュレーション方法
さらに、ここでは2チームを対象に9イニングのシミュレーションを行うことで得点を計算し、その総得点数が高いチームを勝利チームとすることで試合を疑似的にシミュレーションしています。このとき、この方法では実際には行われないイニング(ホームチームリード時の9回裏)もシミュレーションしているため、打点数においてバイアスが発生することに注意する必要があります。
[仮定]
- 打席結果は表1の6種類のみで成績に従って確率的に決定される。
- 走塁は打席結果のみに従い、表1のとおりに対応する。
- 2塁走者が単打で生還する確率pは0.6である。
- 以上の仮定で想定されないプレー(盗塁・失策等)は無視する。
※モンテカルロシミュレーション方法の解説はこちら
③対戦結果
-(1)対戦方法
-(2)シミュレーション結果
-(3)シミュレーションの限界
④おわりに
-(1)まとめ
今回はモンテカルロシミュレーションを利用して、2021年度日ハムにおける6番最強打者理論の検証を行いました。その結果、6番最強打者理論に従う打順ではシーズン総得点数が増加し、僅かながら勝利確率も上昇しました。よって、6番最強打者論は少なくとも現状の打順よりも有効であるといえます。
-(2)今後の展望
しかし、この分析結果が偶然である可能性を否定できません。そのため、将来的にはモンテカルロシミュレーションに頼らない分析から6番最強打者論を検証しようと思います。
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